判断が一つ減った日|錯覚卿

錯覚卿

錯覚卿 第4話

── 今日の揺れ ──

判断停止


含み益が、少し減っていた。

大きく崩れたわけではない。
形もまだ、崩れていないまま残っている。

だから、切るほどではないと思った。
そのまま持つ側に寄っていた。

少し戻す。
また少し削れる。

動きは荒くない。
上下はあるが、崩れた印象には寄らない。

最初に感じた位置は、まだ保たれている。
下に落ちたというより、少し削れただけに見える。

だから、問題はないと思った。

どこで判断したのかは、はっきりしない。
ただ、持ったままでいい感触だけが残っている。

一つ、考えなくなっていた。

切るかどうか。
その判断を、どこかで外していた。

見ているのは、位置だけになる。
崩れていないかどうか、それだけに寄る。

細かい動きは、あまり拾わなくなる。

同じ動きでも、意味が軽くなる。
削れても、まだ上にいると見える。

戻りがあれば、それで十分に見える。

判断が減ると、流れは滑らかになる。
引っかかりが少なくなる。

その分、迷いも減る。
持ち続けることが、自然に見える。

気づけば、見ているものが絞られている。
都合のいい部分だけが残る。

削れた分は、少し曖昧になる。

考えなくても、持ててしまう。
その状態が、そのまま正しさのように見える。

形は変わっていない。
位置も、そこまで悪くない。

それでも、何かが一つ抜けている。

最初にあったはずの判断が、
どこで外れたのか分からない。

減ったことにも、気づかないまま。

→次話:崩れていないだけだった
→入口


怖さも欲もある。
  何も足さない。何も引かない。
→相場で勝つために、絶対に必要なこと


 

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